よくいただく質問について

建築設計事務所の仕事とはそもそもどういうものですか?

建築物を設計して設計図通りに工事ができているかを監理する仕事であり、あなたの代理人であり伴走者です。ちょっと前までは、映画監督やオーケストラの指揮者のような立場の人。という例えがありましたが、最近ではもっとお客さんに寄り添った身近な存在になっています。最初の相談から設計、工事、工事完了後も家族ぐるみのお付き合いなど、各設計事務所によってさまざまですが、私が知っている範囲の建築設計事務所の人たちは勉強熱心で控えめな人たちが多いです

建築設計事務所は工事もしてくれるのですか?

工事はしません。家をつくる選択肢として「住宅メーカー」「工務店」「建築設計事務所」の主に3つがあります。「住宅メーカー」「工務店」は工事をします。「建築設計事務所」は設計監理が仕事です。工事はしませんが、法に則って、中立の立場で監督をします。

建築設計事務所は金額も敷居も高いイメージがあるのですが、どうなんですか?

凝れば凝るほど高くなるかもしれません。敷居が高い設計事務所も中にはあると思います。一品受注品のような素材や部品を組み合わせていけば、金額も高くなることはご想像がつくと思います。設計事務所の魅力は選択肢の多さが魅力の一つだと思っています。多様な選択肢の中からある部分は金額は抑えつつ譲れない部分にお金を振り向ける。その幅があると思います。

住宅メーカーや工務店と何が違うのですか?

設計者と一緒に過ごす時間が違います。これは自身が住宅メーカー、工務店、設計事務所のいずれの立場も経験したからわかります。最初の相談から引き渡し、その後のアフターフォーローまで設計者が一緒になって伴走するのが設計事務所。住宅メーカーでは営業、設計、工事、アフターフォローなど役割が決まっている場合が多く、バトンを渡していくように引き継いでいきます。その点、設計事務所はバトンを途中で落としたりすることがありません。一緒に最後まで走ります。

数ある建築設計事務所、何を基準に、どこにお願いすればいいのですか?

一般的には、実績とその設計事例、その事例から読み取れる専門性や経験値、あとは口コミなどがよく言われることです。大切な判断の基準の一つだと思います。もうひとつあります。それは話せる相手か。ということです。多くの建築設計事務所は家やお店の設計をお願いされた場合、依頼者のプライベートを事細かにヒアリングします。仕事の事や家族関係について、お金の事、将来どうしたいか?もあるでしょう。これら普段、親にも明かさないようなプライベートな事を話せるかという視点は大切だと思います。会って話してみて、これから長い間、関係を気づいていけそうかどうか。よく例えられるのですが、設計事務所を探すのは結婚する相手を探すようなものだといいます。一度あっただけで判断するのではなく、何度か会って判断するとよいと思います。

あなたに頼んだ場合、ほかの建築設計事務所と何がちがうのですか?

言い換えれば、あなたの強みは何ですか?ということを聞かれているのだと解釈しています。自分の強みは、どの立場も体験してきたことによる対応力だと思っています。過去に、職人・設計事務所・住宅メーカー・不動産デベロッパー・工務店、それぞれの立場を体験して、ものの見方や、考え方の引出しを増やしてきました。特に、学生時代の4年間、季間アルバイトで植木職人を経験させてもらいましたが、自分の体を使って働くことへの喜びや、一所懸命にやることによって仲間として認めてもらえる体験は自分の芯になっていると思います。

設計はお願いしたいが、知り合いの工務店で工事をしてほしい。可能ですか?

工務店さんの考え方、やり方もそれぞれありますので、お話し合いをした上で判断させて頂きます。

ちょっとした棚を付けたいんだけど、相談に乗ってもらうことはできますか?

乗ります。棚をお願いしてくれるだなんて、なんて素敵な方なんだろうって感動してしまいます。ホームセンターやIKEAの棚ではなく、ご自身でセルフビルドのやり方をご指南希望でもなく、お任せいただけるのであれば、ここは俄然やる気がでてしまいます。これまでにガラス板を積層させた照明器具を兼ねた棚や、古材の建具を棚に改造した事例があります。

予算が少ないんだけど、設計をお願いすることはできますか?

まずはお話を聞かせてください。実際、既定の設計料金の半分にも届かない依頼を受けたことはあります。ただし、そこには条件がありました。もちろん同意の上でですが、設計は自由にやらせてくれる。今まで試したことがない事を試験的に試させてもらう。完成事例としていつでも訪問がOK。などです。あとは「お金がなくても人肌脱ごう!」とこちらの気持ちが動いた時です。

他の建築設計事務所も2社ほど考えているんだけど、無料でプランをつくってもらえますか?

残念ながらお断りしています。プランをつくるまでの前段階の労力を含めて、無料でよいとは自分の中で納得できないのが理由です。都度話し合いとなりますが、いくばくかのお金をいただいて、他の設計事務所さんとの競合という形であれば、お受けいたします。選んでいただけるようにがんばります。

家を建て替えたいが、相続の問題がある。どこから相談したらいいですか?

まずはご家族間の相続問題の道筋をたててから、建て替えという流れになります。ただし、土地の属性や持ち分、建物は誰の所有か等によって、建築士の見解を最初に聞いておいた方が良いという場合もありますので、まずはお話をお聞かせください。必要であれば、税理士、司法書士、弁護士、などの専門家にも協力をしてもらいます。

中古のマンションを買って、リフォームしようと思っている。どこから相談したらいいですか?

できればマンションを買う前にご相談ください。まずは立地でしょうか。将来の事を考えて、売ったり貸したりすることが想定される場合は何より大切です。次に管理状況。3番目にマンション自体の属性。築年数や施工会社などです。2番目にあげた管理状況は大切です。マンションはよく管理で買え。と言われていますが、その通りだと思います。中古マンションのいい点は、新築マンションと違って、管理状況が見える点だと思います。既にマンションにお住まいの方は、話を聞いてほしい。と思った時にご相談ください。

出店を計画しています。どの時点で相談したらよいですか?

お店を出したい場所探しから相談に乗ります。今の時代、業態によっては地方の山奥に出店しても売れる可能性があります。全国どこにいても配送してくれるような時代に対して逆行するようなお店のやり方はそれだけで個性ですし、おもしろいと思ってくれるお客さんがSNS等で見つけてくれると思うからです。その土地の場所性を味方にすることができれば、より魅力が増すと思います。

空薫のようなお店をつくりたい。できますか?

できます。空薫はギャップ(落差)をテーマに据えたお店です。新しさと古さ。人工と自然。広さと狭さ。明るさと暗さなど、対比する要素を並べたてたら人はどう感じるのか?を実験的に仕掛けづくりをしてきました。大切なことは来ていただくお客さまにどう喜んでもらえるか、興味を持ってもらえるか、そして利益に結びつけられるか。だと思います。落差をテーマにした仕掛けづくりはそれぞれの場所で違ってくると思いますので、新しいご提案をしたいと思います。