京都 東山 まるたけえびすにおしおいけ

京都。久しぶりの京都まちあるき。南禅寺周辺の別荘界隈をテレビで取り上げていまして、これは見に行かねばと、ここ東山にやってきました。上から哲学の道を下って、南禅寺界隈まで下って行きます。法然院。ここから歩き始め。拝観料がない、フリーのお寺です。観光客の外人さんを見ると「おっ、あなた方、なかなか、通ですね!」と会釈。参道につながる山門と、椿が有名なお寺。なにより、ここのお寺にはビックスターのお墓が数多くあるのです。「陰翳礼讃」の谷崎潤一郎。「いきの構造」の九鬼周造。不屈の経済学者、河上肇。そして、この国と、京都大学をかたち作ってきた、内藤湖南。そうそうたる日本近代を彩る人達です。

次は昔より、その良さがわかるようになったかを知りたくて行きます。「あ~、なにもかもいやになったよ」の世捨て人、足利義政の慈照寺、銀閣です。春の特別観覧で国宝 東求堂の内部拝観をやっています。シンメトリーでないその容姿。小さい頃は、金ぴかの金閣寺に比べて、子供心にみすぼらしくて、イヤ。でしたが、大人に なってしまった今、銀閣良いです。もののあわれが多少わかるようになったということでしょうか。なによりこのお庭に感服。起伏のある広大なお庭。掃除が行き届いています。参道に水をまいていたおじさんに、声をかけます。「お庭、とっても、よかったです。」おじさん、「建物がしょぼいから、庭はその分、きれいにせな いかんからねー。」「8時半開門やけど、わたしら、7時前から入ってますわ。」 拝観料500円だけど、もうちょっと上げてもいいな。と思いました。


銀閣寺から歩いてすぐ、日本画家、橋本関雪の旧邸の白沙村荘を出て、哲学の道をさらに下り、次の目的地 永観堂にむかいます。途中の家々のたたずまいが、どれも後学のためになるものばかりです。門構え、玄関までのアプローチ。屋根、外壁。魅力的な民家が多いです。 京都市左京区若王寺町。表札の住所。左京区という響き。東山という感じです。

永観堂。建築をやっている人には見どころが たくさんあるお寺だと思いました。写真の臥竜廊。螺旋する階段に屋根が付いているのですが、その屋根を支える棟木をどう支えているのかがわかりません。屋根垂木はただ乗っかっている感じだけど、これで釣っているのかな。直線ではなく、勾配もついているのに驚きです。ここ永観堂から南禅寺方面へ。塀の外からしか うかがえませんが、テレビでとりあげていた、南禅寺界隈の別荘群のあたりを歩きます。ちょっと別世界です。通りを歩くのも、はばかれるほど、寂とした独特な空気感があります。東山界隈。奥行きのある京都をみることができます。

せっかく、京都まで来たので、四条河原町のお漬物屋さんに寄って、いくつか手に取ります。一日歩いたので、今日のビールが楽しみです。まるたけえびすにおしおいけ。表題は 平安京に発する、南北、東西に直行する大路小路の碁盤の目の街路。その東西方向の通り名を上から唄にしたものの冒頭です。丸太町通りから十条東寺まで。口伝されてきたこの唄が、京都という、まちの奥行きに、人肌のようなあたたかさを 感じさせてくれます。