石川県加賀市。加賀温泉駅に到着しました。駅で迎えられたこのポスター。歌手のレディ・ガガにかけてのレディ・加賀。なのでしょう。昔から加賀金沢には美人が多い。ということからもかけているのでしょうか。美人が多いという他に石川県といって思い浮かぶのは、加賀100万石。金箔を使った美術工芸。本願寺門徒の国。 今回は北前船の寄港地として発展した町と、お茶室を中心に見てまわるのですが、知らない石川県の魅力を教えてもらいます。
加賀市橋立。伝統的建造物群保存地域です。これは後で調べてわかったことですが、重要伝統的建造物群保存地区は全国で106の地区が選定されているのですが、石川県は内8つと、全国1位です。京都の7つより多いんですね。金沢が戦災を受けなかったひとつの証かもしれません。この橋立という町。北海道からのニシンを大阪に運び、そのニシンの金肥からできた綿を北海道に。という、北前船の西回り航路で財をなした町だそうです。舟板という船で使っていた板を外壁につかっていますが、なんとも詫びた、いい感じです。
この北前船の資料館の中で展示されていたのが、この舟箪笥。いい!海に入れても水が入らないようにきっちり作られているそうです。
地区の中をしばらく歩きまわりましたが、この外壁。魅力的です。海に近いので当然潮風もあり、環境としては苛酷なところなのでしょうが、この地区の板張りの魅力に目が奪われてしまいました。
金沢市高岡町。松声庵。金沢市に入りました。ここ金沢に来る前にNHKの番組 「小さな旅」で、金沢のお茶文化のことについて取り上げられているのを見ました。お茶は金沢と切っても切れない関係であるというお話だったのですが、実際にここもお茶席として使われている場所として、ぴんと張り詰めた。そういう臨場感を感じることができました。人の手が入っている、生きている場所ですね。
金沢市兼六町。成巽閣(せいそんかく)。ひとつひとつのお部屋の意匠の凝り具合は、京都の角屋の2階の間のよう。贅と巧緻を極めたもので、見ごたえがありました。説明してくださる方がとても丁寧に教えてくださったので、いかに加賀前田家が一貫して文化にうつつを抜かしてきた藩であるか。ということがよくわかりました。
ここ加賀の国は、前田家が治める前は、百姓の持ちたる国。といわれた相当に難治の国でした。本願寺と結ばれた民衆が殿様を追放して自治共和国を100年(!)も続けたというのですから。そんな場所を信長の時代から前田家が入り、明治の維新まで、その石高をそう減らすことなく守ってきたというのですから、ただ単に文化芸術に怠蕩してきたわけではなかったでしょう。
そういえば、近代日本を引っ張り上げてきた東京大学。その東京大学本郷キャンパスが立つ場所は加賀前田藩の藩邸があった場所です。
100万石の前田家が遺したもの。
石川県そのものをはじめ、文化・伝統・様式美まで。この国のアイデンティティの根幹に触れるものばかりだと感じました。