空薫 メダカについて

空薫にはメダカが4つの場所に別れて住んでいます。分けている理由は、メダカを飼っている方でしたらご理解いただけると思うのですが、「メダカは産んだ卵を食べてしまうから」です。産卵した卵は食べられてしまうので、卵を見つけたら他の場所に卵を移す必要があります。卵が産まれる時期には当然違いがあるので、4月に生まれた子はこの場所。6月に生まれた子はこの場所。と、自然に住処が増えていくということになります。また、メダカは縄張り意識がどうやら強いようで、Aという場所で育ったグループとBという場所で育ったグループを一緒にしたりすると、10日も経たずに、「そして誰もいなくなった」というホラーな結果を招くこともあります。この仕組みはよくわかっていないのですが、うまくいく場合もあるので、違うグループ同士を一緒にする必要がある場合には結構、気を遣います。

4つの場所のうち、一つ目は店の入口すぐの土間に置いているガラス瓶に入った子たち。メダカは目高と書くように、目の位置が頭の上の方についています。本来、水面に近い場所で生活するようなので、水の表面積が広くて、浅い場所の方が住みやすいはずです。このガラス瓶はその逆。大気に触れている面積が狭く、水が深いので、彼らにはちょっとかわいそうな環境だと思っています。そこで、このガラス瓶にいる個体は、ここより住みやすいであろう場所に定期的に移しています。お役目というか、お勤めご苦労様という感じです。

二つ目は店の外。ご近所のお蕎麦屋さんである千尋さんから頂いた大きな火鉢に入れています。水の量も多く、朝の陽射しも入り、より自然に近い状態なので、店の室内でお勤めしてもらっているメダカたちの退職の場というか、憩いの場になっています。
あまり数が増えすぎてしまうと、生息環境が良くなくなってしまうので、数が増えてきたなと思ったら、体が大きな個体(勝手にお年寄りだと思っている)は自宅に連れて帰り、余生を過ごしてもらう。そんなサイクルになっています。

三つめは店の正面の棚に置いているガラス花瓶。入り口土間のガラス花瓶の小さいバージョンです。ここには2匹。多くて3匹です。ただし、なるべく小さな個体であるようにしています。どちらのガラス花瓶にも照明をあてて、水草の光合成を促しています。照明の存在を極力消したい。と思ってしまうのは職業柄かもしれません。

四つ目は店に入ったところに置いてある、流木の上に置いた植木鉢の中。植木鉢の中に料理で使う透明プラスチックのボールが入っていて二重になっています。植木鉢は見た目のためだけの存在です。この場所には現在メダカはいません。4月に入り、あたたかくなり、これから産卵の時期になるので、生まれた卵を移す場所として確保しています。こんな感じでメダカたちは同じ場所に居続けることなく動いています。実は自宅には現在5か所のメダカの住処があるので、店も合わせると9か所に別れて住んでいることになります。時期によって、9が15に、15が6になったりします。
ありがたいことに、空薫のお客さまからメダカをいただくことがあります。新しい血が入ってこないと、どうしても風通しが悪くなり、生育環境も悪化していく気がします。これは人間世界と一緒ですね。毎年の新入生は必要だよな。ということです。